COLUMN
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ちょっとしたハナシ…
現代はインターネットをはじめとしたメディアの発達により、さまざまな情報がすぐ手に入る時代です。
(カイロプラクティック等に代表される)手技療法に対する情報も、多くの方に知られていることと思います。
しかしその一方で、地域により認識の度合いが違ったり、従来の手技療法にまつわるイメージの先行により、偏見や誤解を持っている方もまだまだ多いのではないかと思います。
ここでは、そういった事も含め、手技療法について主に書いてみたいと思います‥‥が、思いつくまま、全然違う話も書くかも知れません(…といいつつ全く放置してます)。
手技療法に興味があって、うんと時間が余っている方はヒマつぶしにお読みください。
尚、手技療法に対する見方・考え方は私見であり、独断と偏見も多分に盛り込まれますので、あらかじめご容赦ください。
また、こんなページまで読まれる方はこのテの治療に興味があり、興味のない人はこんなサイトは見ないだろう、という前提で書いていますので、その点もご了承ください。 -
関節がズレる…?
オステオパシーやカイロプラクティックは、現在、日本においても広く知られていることと思われますが、世間一般から見て、日本ではいわゆる整体の仲間と見られているため(そう思われても仕方ないのですが)、多くの方に認識されているのは「ズレた骨を元に戻す治療法」ではないかと思います。
これは過去から現在に至るまで、様々な療法名や流儀が喧伝されながら、方法の多くは腰や頚などの背骨を捻ったり押したりして「パキッ」「ボキボキッ」と鳴らすやり方が圧倒的に多かったためでしょう(現在もその方が多いと思います)。
音がすると、いかにもズレた骨がハマった感じがしますし、また、施術者もズレた骨を戻すつもりで行なってきたのだと思います。
しかし現在(といってもかなり前からになりますが)では、骨がズレたという認識は正しくはなく、そうではないことが分かっています。
手技療法において改善しなければならない関節とは、「不自然な可動性を持つ」関節であり、決して「ズレた」関節ではありません。ましてや、背骨ならこれはなおさら強調しておきたいところです。
背骨が1cmも2cmもズレたら大変なことになってしまいます。
限度を超えたものは脱臼であり、それは整形外科に行って貰わなくてはなりません。
手技療法で「ズレた」と表現される「不自然な可動性」とは、関節と関節をつなげている筋肉や腱のレセプターが何らかの原因でエラーを起こし協調性を失い、『ある特定の方向へは動きやすいが、別な方向へは動きづらくなってしまった状態』『他と比べて著しく動きに制限がみられる状態』『他と比べて動き過ぎる状態』をいいます(少なくても筆者はそのように理解しています)。
筋骨格系に対する手技療法の直接的な目的は、何らかの原因で生じた可動域の制限や、スムーズな動きが出来なくなった関節(を支える筋肉)あるいは筋群そのものを、正常な状態に近付けるように誘導することです。より少ない刺激で目的を達することが出来るならば、わざわざリスク(=この場合は余計な外力)を負う必要はありません。
ですから、施術の時にボキボキ音が鳴らないと気が済まない感覚というのは「ズレた骨を元に戻す」という思い込みから生じたものであると言えます。
ただ、当治療室では使わないだけで、スラストを用いたテクニックにはそれなりの理由があり、そういったテクニックそのものを否定するつもりはありません。
よくよく調べないでとにかく片っ端からボキボキバキバキやるなどというのは、これはもう論外なのですが、意外とこれはこの時代になってもまだ多いのかもしれません。
(同業者同士でのセミナー等では、面倒なので「これがこっちにズレて‥‥」などと会話したりしますが、本当の意味で「ズレた」と思って話している人間はいない‥‥と思います、多分)
これを読んで、「骨のズレ」に対する認識に若干の修正を加えて頂ければ幸いです。
ちなみに、上記のことを踏まえた上でもなお「とにかく全身をゴキゴキやって欲しいんだ」「痛いぐらいの方が効果があるんだ」との信念をお持ちの方には、当治療室での施術はまったくご期待に添えないことになると思います(決して手抜きでやってるわけではないです)。
ウチではこれからも骨を鳴らしたりする方法は(おそらく)使いませんので…。